TinkerBellSound製テレキャスターピックアップの音とは

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Pickupの製作素材のストックが僅かだったため製作依頼をお受けできずにいましたが、アメリカからマグネットとコイルワイヤー以外の素材を新しく輸入し製作を再開することとなりました。
tele_2解説:Cougen Koizumi
(ThinkerbellSound製ピックアップの開発・製作者)


貴方が今使っているギターの音質に違和感や不満があるなら下記の動画の音を聞いてみてください。

この動画に登場しレコーディングに使った赤いギターに搭載してあるピックアップはTinkerBellSoundの発売品と全く同じものです。登場する1966年製オリジナルPickUPの写真は30年近く前にTinkerBellSoundの千葉君に売却した物で、最近マグネットパワーの調整が必要となり着磁の際に撮影したものです。

撮影に使った赤いtelecasterはアコースティック鳴りはボディー材に軽めのアルダーを使いナットには本象牙など伝統的なカントリーミュージシャンやRoy Buchanan達の感情豊かな表現を出しやすいよう50sのTelecastereの音質に調整してあります。

フロントはご存知のようにカントリーミュージックのギタリストの人たちがオリジナルのパワー不足を補うようにストラトのPickup積み替えたりテレギブなどのようにパワーのあるpickupに変えたりしています。TinkerBellSoundのTeleModelでは、なるべくルックス的に変わらないように、多少長めのマグネットを使いストラトのフロントとほぼ同じパワーになるようにモディファイしています。

リアはボトムもブラックバルカンファイバーですが電気的特性は1966年製の完全再現品です。そのためマグネットの直径や長さはインチ規格、オリジナル同様のスタッガード配列が基本です。

音質を決定づける重要素材は1980年頃に元Fenderの開発部門担当でマサチューセッツ工科大学出身のPaul Gagon氏とのシャーベル社新製品共同開発の時に入手したUSA製のインチ規格のALNICO#5のNew Old Stock。コイルはポリウレタン被膜のAWG#42。製作最終段階で再着磁して全マグネットのパワーバランスをとってあります。この古いマグネットは今かなり貴重です。ALNICO#5は製造年や製造国によってかなり音質に違いがあります。
特に最近のUSA製品は中国製造のためか直径もかなりアバウトです。合金自体の色にも違いがあり音質に極端な異変を感じます。これは真空管アンプのアウトプットトランスに使う鉄心コアも同様のようで1970年代までのFenderやMarshallの音質の良さの要因の1つと考えられます。

まず最初に自分のギターをアンプを通さない生音をチェックしてみてください。

Telecasterはソリッドボディーですから音量は小さいでしょうがソロでもコード演奏でも居心地の良い音が出ていますか?もしそうでないならアコースティックな部分の調整または交換が必要です。
そのような状態ではどんな素晴らしいPickupに交換しても本当の意味では満足が得られる結果は期待できません。しかし、生音が良いにもかかわらずアンプを通した音に不満がある場合は2つの原因が考えられます。1つはアンプに問題がある場合。もう一つはPickupの電気的特性が非論理的な設計になっている場合が考えられます。

1964~1974年のTelecastereは焦げ茶色のエナメル線が使われていました。同じ色のエナメル線のストックは充分な量あるのですが、最近調べたら全体に極端に滑りが悪くなっていて切れやすくなりDC抵抗値もかなり上昇していました。それで顕微鏡で表面変化を調べてみたら予想通り髪の毛のキューティクルのようなシワや亀裂が乱立していました。これが予想外に早くエナメル線が劣化する原因のようです。
ちなみに1950年代のエナメル線は下記の動画に登場するプレシジョンベースのオレンジ系の色です。

Cougen Koizumi